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2021.12.13 - 2021.12.19
石間 秀耶
ONOMICHI


瀬戸内海から昇る朝日と山際に沈む夕日、燦々たる陽光、生ぬるい風がこの町をぬけてゆく。二〇二〇年夏、 映画『逆光』(監督:須藤蓮 脚本:渡辺あや)の撮影クルー に同行し、制作現場に密着する傍ら、広島県尾道市の街中を撮影した。映画の舞台となる一九七〇年代と現在の景色を交錯させながら、存在したかもしれない “現実” の断片的記憶。そしてそれが立ち上がる瞬間を切り取り、 映画の構造化を試みた。街を背に海を挟んだ先にある向島に赴くと、工場が立ち並ぶ景色のなか、風変わりな駄菓子屋がぽつんと一軒。 菓子パンを買い、店から覗く尾道の町並みは、窓枠というフレームの中で小さくこじんまりとしたものに感じられた。齢を重ねた店主の目に映るのは、山沿いに並ぶ寺々、変わらない建物、今はなき港、広島の原爆。話を聞きながら、窓一つ介して、店主の劇的な残像の記憶を想像する。はるか遠く、一点を見つめる店主の横顔には緩やかな時間が流れていた。

石間 秀耶「

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石間 秀耶 | Hideya Ishima
1997年静岡県生まれ。独学で写真を学びながら、2019年「Ether (表参道ROCKET)」「トーキョーアナログ」にて作品を発表し始める。ノンバイナリーである自身をテーマにしたシリーズ作品では、多様なセクシュアリティを持った50名にインタビューを行い作品を制作。2021年、印刷会社へ勤めながら制作した写真集「ONOMICHI」を自費出版にて発売。


https://www.ishimahideya.com/